2023.10.11 [ 店舗コラムブログ ]
商業施設に出店するには。
「メリットやデメリットを知っておきたい!」
路面店やビルのテナントオーナー様なら、新たなビジネスチャンスとして駅ビルやショッピングモールなどの大型商業施設への出店を考えたこともあるかと思います。
高い集客力や利便性を誇る大型商業施設ならではのメリットがある一方、出店前に押さえておきたいデメリットなど、出店を計画する際の注意点などをまとめました。
目次
■大型商業施設に出店するメリット
●立地条件が良い
大型商業施設は、その施設を建設する段階でリサーチされており、立地条件が良かったり、車でもアクセスしやすかったりする場所が多いです。
駅ビルなら、その駅の利用客や乗り継ぎでの人の流れが多いでしょう。
郊外のショッピングモールなら、駐車場を十分に用意してあり、利用客が訪れやすくなることもあり、多数の来客が期待できます。
●施設自体の集客力が高い
大型商業施設は多種多様なテナントが入居しているので、服や雑貨、食料品の買い物や食事、映画やゲームなどを楽しみに来たり、特に目的がなくても何か楽しいことはないかと訪れる人々がいたり、実に多くの客層が訪れます。
また、路面の単独店舗に比べて一般的に滞在時間が長めになる傾向があります。
「他の店舗を訪れた利用客が、ふと見かけた自社の店舗も利用してもらえる」などの機会も期待できます。
●ブランド認知と信頼性
大型商業施設に出店すること自体が実績となり、利用客からの信頼性が高まる期待ができます。
その理由として、出店前に施設側から出店計画や経営体質に関して審査が行われることが多いことや、商業施設内の店舗に対して一定の信頼感を持っていお客様が多い傾向にある、などが挙げられます。
自社店舗のブランド力・イメージアップにつながり、競合他社に対して優位性が高まる可能性があります。
●店舗運営に関するサポートが豊富
大型商業施設の場合、施設が用意する駐車場やセキュリティ、トイレ設備などのインフラストラクチャーを利用できるので、お客様は施設での滞在中、快適に過ごせます。
また、定期的に施設としてイベントを開催したり、HPや紙面などで広告・マーケティングのサポートを提供しています。
自社店舗だけの駐車場用地を用意したり、セキュリティ会社と契約したりするのは大変ですし、広告にしても単独でHPを準備したり、チラシの印刷や折込手配の手間は、それなりに膨大な労力がかかります。
共益費や広告掲載に費用負担は出てきますが、独自に用意することに比べればその負担度合いは軽めになるといえるのではないでしょうか。
こういった運営に関して多くのサポートを受けられるのは、魅力の一つといえるでしょう。
●雨天・猛暑など天候に客足が左右されにくい
大型商業施設は、建物内部に入ってしまえば、雨や雪で足元を気にしなくてよい上、全館空調のことがほとんどなので、お客様は酷暑の夏も寒い季節も快適に滞在できます。
台風や荒天でない限り、客足に比較的天候の影響は少なめで、安定した傾向にあります。
■大型商業施設に出店するデメリットは?
●賃料(テナント料)が高め
店舗を借りた場合、賃料が毎月発生するのはどこでも共通ですが、大型商業施設の場合、毎月の賃料が一般的に高い傾向にあります。
また、多くの商業施設では売り上げに応じて賃料が変わる「売上歩合方式(売上歩率)」と呼ばれる徴収方式を採用しています。
例えば、10%(施設により割合は異なる)の歩合で月200万円の売り上げの場合、200×10%=20万円が賃料の計算になりますが、売り上げの上下により、賃料も上下するわけです。
ただし、「最低限の保証売上額」を設定している施設の場合は売り上げがそこに達していない場合は、賃料の下限額を支払わなければなりません。
●売上金は毎日手元に入らない
大型商業施設の場合「一旦施設側に売り上げを預けて[テナント料や共益費など各種経費等]を差し引かれた後、月に数回の振り込みがされる」という形式をとっていることが多いです。
各種経費の支払いと、預けた売り上げが振込みされる日程にずれが生じることが多いため、余裕を持った資金繰りを行うよう注意しておいたほうが良いでしょう。
●営業日・営業時間に制限が出る場合も
路面店ならば、休業日を何曜日にするか、24時間営業にするのか、など自身の店舗運営上自由な采配が可能ですが、大型商業施設は施設の営業日・営業時間にある程度合わせなければならないことが多いです。
●施設側から販促活動上の参加を促されることも
大型商業施設の主催にするイベントや広告など、販促活動に参加するよう促されることがあります。
メリットももちろんありますが、参加によって発生する費用や、例えばイベントでの商品・サービスを提供するよう依頼された場合に、負担が発生することがあります。
セール期間なども、施設の設定した期間に合わせる必要が出てくるでしょう。
●施設に合わせた店舗デザイン・レイアウト対応
路面店でも、その建物に合わせてレイアウト・デザインする必要性はありますが、大型商業施設の場合はさらにもう一歩、入居規約として制限が課せられることがあります。
施設ごとに看板のサイズや使用できる内装材に制約がある場合があり、設計段階から施設の内装監理室に図面を提出して承認を取る必要があります。
排煙計算や避難経路寸法が建築基準法や消防法などに違反していないかをチェックの上、変更指示を出すことがあるので、計画段階でチェックバックの時間を見ておく必要もあります。
●退店時の原状回復費用
これは路面店も大型商業施設も同様に発生する費用になりますが、万一撤退することになった場合、店舗の状態を入居前の状態まで戻して退店する「原状回復工事」を行う必要があります。
躯体だけのスケルトンまで戻すのか、壁面の下地ボードまでの状態にするのか、などは施設の規約ごとに異なりますので、入居前の契約時点でのチェックポイントの一つです。
●B工事(施設のインフラ工事)費用が高め
B工事とは、大規模商業施設での工事区分(別ページで解説)名称ですが、主にビル基幹設備と関連する保守・管理上、電気・給排水・防災・空調等の変更や増移設工事等を指します。
B工事は基幹設備と紐づいているため、そのインフラ関連工事は指定業者に依頼しなければなりません。
テナント出店者側の基本設計を基に、施設側がB工事業者に依頼してインフラ関連の施工をしますが、その費用はテナント出店者の負担となります。
B工事の金額交渉をテナント側が行うのは難しいことが多く、思っていたより高額になる場合も。
■まとめ
大型商業施設での店舗運営はとても魅力的なメリットがたくさんあると同時に、注意しておくべきポイントがいくつかあることをお伝えいたしました。
それらを踏まえたうえで、利益の出せる店舗にしていけるように計画していきたいですね。
なお、施設側との設計上の交渉や図面・書類作成にはかなり多くの資料提出が必要ですので、一般的な店舗内装の会社は実はなかなか対応できないところも多いのです。
(次回コラムではもう少し詳しく大型商業施設での設計から施工までの流れを解説します。)
株式会社ディックは大型商業施設での施工実績も多数ありますので、安心してご相談・お任せください。
店舗設計・デザイン・施工の面で、私たちはお客様とご一緒に考え、サポートしてまいります。
大型商業施設の出店に興味を持たれましたら、ぜひご一緒に成功を目指しましょう!
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